ここでは、Illustratorの基本操作としてオブジェクトの各種ペイント方法について説明をします。また説明に用いるソフトのバージョンは「Illustrator 24.0」です。
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ペイントする前に
Illustratorで、図形などのオブジェクトに色を指定する方法は2つあります。まず1つは、単純に「塗り」と「線」の色を指定する方法。もう1つは、オブジェクトを「ライブペイントグループ」に変換してから、グループ内の(輪郭線や面などのパスを個別に)オブジェクトの塗りや線の色を指定する方法です。
カラー指定のコントロール
また色を指定する際、「塗り」と「線」の切り替えなどのコントロールは、ツールパネル・コントロールパネル・「プロパティ」パネル、そして「カラー」パネル(「スウォッチ」パネル)のいずれかで行うことができます。
■ 塗りボタン
塗りボタンを前面にすることで、オブジェクトの内側の色を指定することができます。またボタンをダブルクリックして、「カラーピッカー(カラーコードの入力など)」によるカラー指定も可能です。
■ 線ボタン
線ボタンを前面にすることで、オブジェクトの線の色を指定することができます。またボタンをダブルクリックして、「カラーピッカー」によるカラー指定も可能です。
■ 塗りと線の入れ替え
ボタンをクリックで、「塗り」と「線」に指定されている色を入れ替えます。
■ 初期設定のカラー
ボタンをクリックで、オブジェクトを初期設定の色(塗り:白 / 線:黒)に戻します。
■ カラー(単色)ボタン
ボタンをクリックで、単色以外(グラデーションとパターン)が指定されている、また「塗り」や「線」の色が指定されていないオブジェクトに対して、カラー指定に「単色」を適用させます。
■ グラデーションボタン
ボタンをクリックで、グラデーション以外(単色とパターン)が指定されている、また「塗り」や「線」の色が指定されていないオブジェクトに対して、カラー指定に「グラデーション」を適用させます。
■ なしボタン
ボタンをクリックで、何かしらの色(単色、グラデーション、パターン)が指定されているオブジェクトに対して、その色を「なし」にします。
スウォッチライブラリ
「スウォッチ」とは、カラー(色合いや濃淡)、グラデーション、パターンそれぞれに名前を付けたもののことを言います。またそのスウォッチをカテゴリーやグループ別にまとめたものを「スウォッチライブラリ」といい、スウォッチパネルの左下にあるアイコンをクリックして、一覧を確認することができます。
2種類のペイント方法
「塗り」と「線」のカラー指定
オブジェクトを作成すると、そのオブジェクトの「塗り」と「線」の色を指定することができます。「塗り」とはオブジェクトの内側のカラー(単色、グラデーション、パターン)のことで、クローズパスに色を指定する場合はそのままパス内の領域が塗りつぶされますが、オープンパスは始点と終点を直線で結んだパスの領域が塗りつぶされます。「線」とはオブジェクトを構成するセグメント(アウトライン、パス、輪郭)のカラーのことです。
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- 描画ツールで、自由にオブジェクトを作成します。
- 選択ツールに切り替えて、カラー指定対象のオブジェクトを選択します。
- 「スウォッチ」パネルなどから任意の色を指定します。
- オブジェクトがペイントされます。
「ライブペイント」によるカラー指定
「ライブペイント」によるカラー指定は「塗り絵をする要領」で行うことができるため、ワークフローがより自然です。したがって、オブジェクトの重ね順などを気にすることなく「平面の絵」を塗るように、パスで囲まれた領域ごとに色を指定することができます。Illustratorでは、このパスで囲まれた領域のことを「面」といい、交点間のパスのことを「輪郭線」といいます。
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- 描画ツールで、ライブペイント用(複数のオブジェクト重ねるなど)のオブジェクトを作成します。
- 選択ツールに切り替えて、1のオブジェクトすべてを選択します。
- メニューバーの「オブジェクト」の中にある「ライブペイント」から「作成」をクリックすると、ライブペイントグループが作成されます。
- 「ライブペイントツール」を選択し、「スウォッチ」パネルなどから任意の色を選択します。
- オブジェクトの塗りたい領域をクリックして、色を指定します。
- オブジェクトがの任意の部分がペイントされます。
ライブペイントでカラー指定したオブジェクトを、見た目をそのまま保持した状態で通常のオブジェクトに変換するには、次の手順を追ってください。
- 選択ツールで、ライブペイントグループを選択します。
- メニューバーの「オブジェクト」の中にある「ライブペイント」から「拡張」をクリックします。
- ライブペイントグループのオブジェクトが、通常のオブジェクトに変換されます。
グラデーションで塗る
グラデーションとは段階的な変化のある色のことで、立体感や光沢感などを表現する際に使用します。またグラデーションの色や形などの設定は「グラデーション」パネルで行います。グラデーションパネルが表示されていない場合は、メニューバーの「ウィンドウ」から「グラデーション」をクリックして表示しましょう。
まずは、任意のオブジェクトを選択し、ツールパネルなどでオブジェクトの「塗り(面)」にグラデーションを指定します。
開始位置と終了位置の色
「グラデーション」パネルに表示される、グラデーションの開始位置と終了位置を示すスライダーを確認してください。デフォルトでは、開始位置と終了位置2つのスライダーが表示されていると思いますが、このスライダーは自由に数を増やしたり、位置を移動させることができます。
開始位置などの色を変更する場合は、任意の色を「スウォッチ」パネルなどからスライダーまでドラッグアンドドロップして行います。またスライダーをダブルクリックすると表示されるパネルからカラー指定することもでき、この場合、CMYKやRGBの数値を指定し設定することもできます。
グラデーションの角度と種類
Illustratorのグラデーションには「線形グラデーション」と「円形グラデーション」、そして「フリーグラデーション」という3種類から選択することができます。
線形と円形のグラデーションは、名前の通りその形を表しています。またそれぞれはグラデーションの角度を設定することができます。ただし円形グラデーションにおいては、「縦横比」の形状が100%の場合にはグラデーションの角度を設定しても意味がありません。フリーグラデーションでは、線形や円形などの形を無視して、形や色またその度合いを自由に設定することができます。
グラデーションツール
「グラデーションツール」を使うと、ドキュメントウィンドウ内で直接アートワーク(グラデーションの色や角度などの編集)を行えるため、変更内容をリアルタイムで確認しながら作業することができます。
上の図のような孤立したオブジェクト全体にグラデーションを適用させたい場合は、それらを「複合パス」に変換する必要があります。全てのオブジェクトを選択した状態で、メニューバーの「オブジェクト」の中にある「複合パス」から「作成」をクリックしましょう。
また複合パスを作成しなくても、「グラデーションツール」でオブジェクト全体を触れるようにドラッグアンドドロップするだけでも上の図の右側のようなグラデーションをかけることは可能ですが、この方法ではグラデーションの範囲などを正確に指定することはできません。
複合パスについては、下の記事で紹介しています。
模様(パターン)で塗る
Illustratorでは、オリジナルの模様(パターン)を作成して、その模様でオブジェクトをペイントすることができます。またそのような繰り返し使用可能な模様のことを「パターン」といいます。
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- オリジナルのパターンを作成します。
- 1のパターンオブジェクトを、直接「スウォッチ」パネルにドラッグアンドドロップします。これでパターンが登録されます。
- 任意のオブジェクトの「塗り(面)」にパターンを指定します。
- オブジェクトがパターンでペイントされます。
通常、オブジェクトをパターンでペイントした場合、オブジェクトを移動すると模様だけがその場所に取り残されたように表示されます。それは、パターンが目には見えない形でアートボード全体に敷かれており、パターンが適応されたオブジェクトの範囲だけが表示されているからですが、これをオブジェクトと共に移動させるには、次の手順を追ってください。
- メニューバーの「編集」の中にある「環境設定」から「一般」を選択します。
- 「パターンも変形する」というチェックボックスにチェックを入れて「OK」をクリックします。
- 設定が適用されます。
オブジェクトの不透明度と線
不透明度パネル
「透明」パネルではオブジェクトの不透明度を指定でき、図形やテキストだけでなく画像などのオブジェクトにも適用することができます。またアピアランスパネルを使うと、「塗り」と「線」の不透明度を別々に指定することができます。
- 選択ツールで、任意のオブジェクトを選択します。
- 「透明」パネルの値を指定します。
- オブジェクトが指定した不透明度になります。
線パネル
「線」パネルでは、オブジェクトの線(輪郭線)を破線にしたり、線の丸み(角の形など)を設定することができます。Illustratorで簡易マップを作成するような場合に、この線パネルを使うと路線図などが簡単に作成できます。以下、参考までに路線図の作成方法を紹介します。
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- ペンツールや線ツールなどで、直線または曲線のパスを作成します。
- 1のパスの「線」の色を黒色(「塗り」はなし)に、線幅を16pxに指定します。
- 2のパスを選択した状態で、「アピアランス」パネルの「新規線の追加」アイコンをクリックします。
- 「アピアランス」パネルで上(前面)になっている線を選択し、「線」の色を白色に、線幅は14pxにします。
- 4に同じく「アピアランス」パネルにて上(前面)になっている線を選択した状態で、「線」パネルの「破線」にチェックを入れます。
- 路線図の完成です。
【補足】テキストのカラー指定
テキストの「線」の色を指定した場合、線幅を大きくするほどに文字自体が読みにくくなってしまうことがあります。これはテキストの「塗り」よりも「線」が前面になっていることが原因です。これを解決するには、次の手順を追ってください。
- 文字ツールで、テキストオブジェクトを作成します。
- 選択ツールに切り替えて、テキストオブジェクトを選択します。
- 「アピアランス」パネルで、「新規塗りの追加」または「新規線の追加」アイコンのいずれかをクリックします。
- 「アピアランス」パネル上で、テキストオブジェクトの「塗り」と「線」が別々に表示されるようになります。
- それぞれの色を指定し、「塗り」が「線」の上(前面)になるようにドラッグアンドドロップします。
- 文字が読みやすいテキストオブジェクトになります。
ショートカットキー
Windows | Mac | |
---|---|---|
ライブペイントツール | K | K |
グラデーションツール | G | G |
ライブペイントの作成 | Alt + Ctrl + X | Option + ⌘ + X |
パターンを編集 | Shift + Ctrl + F8 | Shift + ⌘ + F8 |