ここでは、Illustratorの基本操作としてペンツールの使い方を始めとする、オブジェクトを作成するためのパスの描き方について説明をします。また説明に用いるソフトのバージョンは「Illustrator 24.0」です。
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パスを描く前に
オブジェクトとはIllustratorで作成した図形やテキストなどの総称で、パスとはアンカーポイントとセグメントの組み合わせのことをいいます。オブジェクトとパスは似た意味合いを持ちますが厳密には別物で、オブジェクトとはパスから成り立つ図形やテキストのことで、パスとはそのオブジェクトを構成する点や線のことです。
クローズパスとオープンパス
オブジェクトには「クローズパス」と「オープンパス」という2種類があり、その名前から想像できる通り、パスが「閉じている」か「開いている」かの違いです。全てのアンカーポイントがセグメントで繋がっているのがクローズパス、対して繋がっていない箇所があるのがオープンパスということです。
またそれぞれに「塗り」を設定した場合、クローズパスはそのままパス内の領域が塗りつぶされますが、オープンパスは始点と終点を直線で結んだパスの領域が塗りつぶされます。
オブジェクトの重ね順
デスクの上で紙を重ねるのと同じように、オブジェクトも重なると下にあるものは上にあるもので隠れます。そしてIllustratorでは重なりが上になるものを「前面」といい、下のものを「背面」といいます。オブジェクトの重ね順を変更するには、該当のオブジェクトを選択して、右クリックで「重ね順」という項目から変更できます。またデフォルトの設定では、後から作成したオブジェクトほど前面になります。
オブジェクトの「見た目」と「実際の形」
オブジェクトを「変形」すると、変形後のオブジェクトには「見た目となる形」と変形前の「実際の形」が同時に表されます。またこの見た目の形(外観)を「アピアランス」といいます。Illustratorのアピアランス機能は、実際の形となる構造を変えずに見た目をカスタイマイズすることができる便利な機能です。
パスの描き方
ペンツール
ペンツールを使用して作成できるオブジェクトで、最も単純なパスは「直線」です。アンカーポイントを2つ作成することで、その2点を結ぶセグメントが同時に作成され、直線が完成します。また直線からなる図形も同じ要領でアンカーポイントを数か所に設け、始点と終点を結ぶことで描くことができます。
クリックで拡大
- まずはツールパネルから「ペンツール」を選択しましょう。
- パスの始点となるアンカーポイントを定義するため、一度クリックします。
- 次に2つ目のアンカーポイントを定義します。この時、直線を描く場合はクリック、曲線を描く場合は上の図の通り、ドラッグしながら方向線を伸ばします。
- 「クローズパス」にする場合は、終点となるアンカーポイントを始点と結ぶことで完成します。「オープンパス」にする場合は、「Ctrl / ⌘」を押しながら全てのオブジェクトから離れた場所でクリックすることで完成します。
鉛筆ツール
鉛筆ツールを使うと、フリーハンドで紙に図形などを描くのと同じようにパスを作成することができます。そのため、素早くスケッチしたり手書き描画する場合に使用すると便利です。また作成したパスは、後から変更カスタイマイズすることができます。
クリックで拡大
- まずはツールパネルから「鉛筆ツール」を選択しましょう。(ツールパネルに表示されていない場合は「ブラシツール」の上でクリックを長押しすると、図の通り「ペンツール」のタブが表示されます。)
- パスの始点となるアンカーポイントの位置でクリックし、ドラッグしながら自由にパスを描きます。
- 「クローズパス」にする場合は、ドラッグしながら始点のアンカーポイントまでパスを伸ばし、鉛筆ツールのポインターに小さな「〇印」が表示されたらマウスボタンを外して完成です。「オープンパス」にする場合は、任意の場所でマウスボタンを外して完成します。
曲線ツール
曲線ツールを使うと、コーナーポイント(直線と曲線の接合点)やスムーズポイント(曲線と曲線の接合点)の作成、またその切り替えなどが直感的かつ簡単に行えます。また他のツールに切り替える必要がないため、より素早くパスを操作することができます。
クリックで拡大
- まずはツールパネルから「曲線ツール」を選択しましょう。
- 始点となるアンカーポイントを定義し、曲線を描く場合はクリック、直線を描く場合はダブルクリック(または「Alt / Option」を押しながらしながらクリック)します。
- 「クローズパス」にする場合は、終点となるアンカーポイントを始点と結ぶことで完成します。「オープンパス」にする場合は、「Ctrl / ⌘」を押しながら全てのオブジェクトから離れた場所でクリックすることで完成します。
【補足】パスを切り分ける方法
パスまたオブジェクトを切り分けたい時は、「はさみツール」もしくは「ナイフツール」を使いましょう。また、はさみツールを使って切り分けた場合は、それぞれがオープンパスになり、ナイフツールの場合にはクローズパスになります。
はさみツール
- ツールパネルから「はさみツール」を選択します。
- パスの切り分けたい部分(アンカーポイントとセグメントのどちらでも可)をクリックすると、その部分が分割されます。
- 「選択ツール」に切り替えて、切断後のパスを移動します。
ナイフツール
- ツールパネルから「ナイフツール」を選択します。
- パスまたオブジェクトの切り分けたい部分をドラッグすると、その部分が分割されます。
- 「選択ツール」に切り替えて、切断後のパスを移動します。
ツールパネルに使いたいツールが見当たらない場合は、ツールパネルの一番下にあるアイコンをクリックすることで、全てのツールを一覧で確認することができます。使いたいツールが見つかったら、そのままツールパネルにドラッグアンドドロップしましょう。
ショートカットキー
ツール
Windows | Mac | |
---|---|---|
ペンツール | P | P |
鉛筆ツール | N | N |
曲線ツール | Shift + ~ | Shift + ~ |
はさみツール | C | C |
オブジェクトの操作
Windows | Mac | |
---|---|---|
最前面へ移動 | Shift + Ctrl + ] | Shift + ⌘ + ] |
前面へ移動 | Ctrl + ] | ⌘ + ] |
背面へ移動 | Ctrl + [ | ⌘ + [ |
最背面へ移動 | Shift + Ctrl + [ | Shift + ⌘ + [ |
選択中のオブジェクトを隠す | Ctrl + 3 | ⌘ + 3 |
すべてを表示 | Alt + Ctrl + 3 | Option + ⌘ + 3 |